三大死因のひとつである「脳卒中」
「脳卒中」とは、がん・心臓病(心疾患)に次いで日本人の三大死因となっている「脳血管疾患(障害)」の別名で、ある日突然に発症し、数分から数時間 で急速に症状が進む病気。再発しやすい特徴を持ち、再発率は年間およそ2~3%程度ともいわれ、特に発症後1年程度は十分に気をつける必要があるとされる。総患者数も死亡原因第一位の「がん」より多く、高齢者が要介護・寝たきりとなる最大の原因となっている。
脳卒中を大きく分けると、「脳の血管が詰まるタイプ」(脳梗塞など)と、「脳の血管や脳動脈のこぶが、破れて出血するタイプ」(脳出血・くも膜下出血など)のふたつになる。1960年代はほぼ8割が脳出血であったが、現在は食生活の欧米化などに伴い、全体の約7割が「脳梗塞」となっている。
脳卒中 | |||||
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脳の血管が破れる | 脳の血管が詰まる | ||||
脳出血 | くも膜下 出血 |
一過性脳 虚血発作 |
アテローム 血栓性脳梗塞 |
心原性 脳塞栓症 |
治療までの時間が勝負の「脳梗塞」
脳梗塞は「脳の血管が詰まる」病気で、血管に血のかたまり(血栓)ができてふさがり、その先の脳細胞に酸素や栄養を運ぶことができなくなって脳に大きなダメージを与える病気。大きくは「脳塞栓症(のうそくせんしょう)」「アテローム血栓性」「ラクナ梗塞」の3つに分類され、最近はTIAと呼ばれる「一過性脳虚血性発作」が注目されている。
「脳塞栓症」は、心房細動や心筋梗塞などによって心臓にできた血栓が脳にまで運ばれ、脳の血管を詰まらせるもの。また、「アテローム血栓性」は、動脈硬化によって頸動脈などの血管壁内部に、アテローム(脂肪のかたまり)による血栓ができ、血管が詰まってしまうもので、「ラクナ梗塞」は、高血圧などを原因として脳の細い末梢血管に梗塞ができるものだ。
最近は、高血圧への対策などが進んだこともあり、「ラクナ梗塞」は減少傾向にあるが、その一方で、生活習慣病の増加を背景とした「アテローム血栓性」や「脳塞栓症」は増加傾向にあるとされている。
脳梗塞の前兆としては、患者2~3人に一人の割合で、「手足に力が入らない」「重いめまいがする」「いつもはない激しい頭痛がする」「ろれつが回らない、言葉が一瞬でてこなくなる」「ものが二重にみえる」などの症状があらわれる。これらは「一過性脳虚血性発作(TIA)」と呼ばれ、小さな血栓が一時的に血管を詰まらせることで起きる症状。
「一過性脳虚血性発作(TIA)」は、時間にして数分から数十分程度であり、一日もたつと症状が治まってしまうことからそのまま病院に行かない人も多く、これが事態を悪化させている現状がある。上記のような症状がみられた場合には、脳梗塞を疑い、一刻も早く脳神経外科を訪れて検査を受ける必要がある。