豊富な経験と技術で実績を誇る
心臓は人間が生きていく上でもっとも重要な臓器。筋肉でできており、1日に約10万回、1年で4000万回収縮と拡張を繰り返している。命と密接に関わるだけに、心臓の疾患は死に直結する危険性も高い。日本人の死因第2位は心臓病。その多くが虚血性心疾患という名で総称される狭心症と心筋梗塞だ。
心臓は休みなく動き続けるために、大量の酸素と栄養素が必要だ。そのため、心筋に十分な血液を補給する必要がある。その動脈が冠動脈だ。大動脈の根元から左冠動脈と右冠動脈に枝分かれし、さらに左冠動脈が前下行枝と回旋枝に分かれる。この3本が主要な冠動脈。冠動脈はさらに細かく枝分かれし、心筋全体を網の目のように覆っている。虚血性心疾患は、冠動脈が動脈硬化によって狭窄し、十分な血液が送られなくなるために発生する。高血圧や高脂血症、糖尿病、肥満などがその主要因だ。
「狭窄により心筋への血流が悪くなると、一時的な胸の痛みを感じるようになります。このような状態を狭心症といい、それに伴う胸の痛みを狭心症発作といいます。この発作は前触れなく突然に起こり、数分間続きます」と山下医師。
心筋梗塞は、狭心症がさらに進行し、冠動脈が完全につまった状態。その先に血液が流れず、心臓の筋肉が死んでしまい激しい胸痛が長く続くことになる。処置が遅れると死に至ることも。
内科的と外科的の両面から心疾患にアプローチ
山下医師が勤める北海道大野病院は、循環器、消化器、呼吸器疾患を専門として1987年9月に開院。1997年にはセンターの名称を取得し、「心臓血管センター 北海道大野病院」へ変更。24時間態勢で心臓病治療に取り組んでいるほか、大野病院附属「駅前クリニック」(札幌市北区北8条西3丁目28 札幌エルプラザビル6F)、大野病院附属「はまや循環器クリニック」(札幌市豊平区月寒中央通7丁目6-20JA月寒中央ターミナルビル5F)も有する。
外科的には心臓の拍動を止めずにバイパス血管を縫合するOPCAB手術や、心臓弁膜症への弁形成・弁置換手術を数多くおこなうほか、内科的にはカテーテル検査は年間1000例以上を実施するなど、実績を挙げている。虚血性心疾患には、一般的に「薬物治療」「冠動脈インターベンション」「バイパス手術」の治療法がある。外科内科の機能を併せ持つ同院では、そのどちらからもアプローチできる特長があるのだ。
山下医師は旭川医科大学卒業後、北海道大学医学部附属病院勤務などを経て、2002年から同院勤務。2007年に副院長に就任した。カテーテルを用いたインターベンション治療を得意とし、年間300件以上の実績を誇る。
冠動脈はとても細く繊細な血管で、なおかつ病態は人によって様々。数多くの経験と知識と高い技術が必要とされるインターベンション治療には、この山下医師の抜群の実績は心強く写るだろう。
カテーテルを用い、症状に合わせた多彩な治療
山下医師の得意とするインターベンション治療は、太ももや腕などの動脈から直径2ミリ程度のカテーテルを入れ、狭くなったところを管の先端についた風船で広げる「バルーンカテーテル」と、広げたところにステント(薬剤溶出ステント)と呼ばれる金属の網を置いて血流を改善する「冠動脈ステント留置術」がある。また、動脈硬化部分にカルシウムが付着している場合は、ローターブレーターという器具を使用し、カルシウムを削り取った上でカテーテル治療を行う。
さらにカテーテルを用いた詳細な心臓検査も実施し、狭心症や心筋梗塞の早期発見にもつなげている。