心臓・循環器 急性心筋梗塞

Dr. Shigeru Saito

齋藤 滋(さいとう しげる)医師

勤務病院札幌東徳洲会病院 循環器科センター センター長

カテーテル治療の国内先駆者

次世代型のステントの開発にも意欲

 狭心症と並んで心疾患の代表的な病気である心筋梗塞。狭心症の場合は安静にしていれば痛みは和らぐが、心筋梗塞の場合は非常に強い痛みが長き、死に至る危険性も高い。この心筋梗塞の治療法の一つ、カテーテル治療で国内の先鞭をつけたのが齋藤滋医師だ。札幌東徳洲会病院循環器科センターのセンター長を務めている。

(撮影日 2012年3月17日)

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独自の技術でカテーテル治療を進歩


 心筋梗塞とは虚血性心疾患の一つで、血栓によって冠動脈の内側が閉塞。閉塞部位より先の心筋に血液が流れなくなり、心筋細胞が壊死する状態のことを言う。前胸部の激烈な痛みが特徴で、胸痛の持続時間は30分以上から数時間におよぶこともある。
心筋梗塞の発症数は日本だけで年間15万人とも言われ、発症しやすい年代は、男性が60代前半、女性が70代。特別な人だけの病気ではなく、成人の誰もが発症する可能性がある。死亡率は高いのが特徴で、致死率は発症した人の3割~4割という高さ。半分以上の死亡患者は病院に到着する前に、また心筋梗塞を発症してから2時間以内に死に至るというのが現実だ。
そのため緊急性を要する治療が施されることが不可欠で、その治療法は血栓溶解療法やカテーテル治療などの内科的な再開通療法、あるいは外科的なバイパス手術が行われる。再開通療法のうち、再発率や死亡率が低いのがカテーテル治療だ。現在では世界で毎年約200万件も行われている主流の治療法となっている。

患者の負担を軽減するカテーテル治療

カテーテル治療とは、動脈硬化で狭くなった冠動脈を内側から広げる治療法。具体的な方法は、カテーテルと呼ばれる細くて柔らかい管を、脚の付け根などの動脈から冠動脈に送り込み、細く柔軟なガイドワイヤーを狭窄した冠動脈まで通す。そしてガイドワイヤーにそって風船のついたバルーンカテーテルを狭窄部で膨らませ、狭窄部を押し広げる。現在では、この拡張した血管の内部にステントと呼ばれる金属の網を挿入する方法が一般的だ。これによって再狭窄を防ぐことが可能になっている。
「カテーテル治療の利点は、手術のようにメスで胸を開けることなく冠動脈の血流を保つことができるので、患者の負担が少ないことです」と齋藤センター長は話す 。

年間1000例を超える症例数

齋藤医師は大阪大学医学部を卒業後、1988年から湘南鎌倉総合病院に勤務し、副院長と心臓病センター長を兼務。
カテーテル治療の先駆者として、テレビ番組などでも数多く取り上げられている。
従来の心臓カテーテル治療は太もも部分にある大腿動脈という比較的大きな動脈からカテーテルを挿入するという方法だったが、この方法では治療後の止血に時間を要するため患者の負担も大きかった。
そこで齋藤医師は、手首にある動脈部分からカテーテルを挿入するという新たな治療法を実施。この治療では、治療後の止血も比較的簡単にでき、患者の負担を大幅に軽減することが可能になった。しかし、太ももの大腿動脈に比べ手首の動脈は非常に細く、技術が不可欠な治療法だ。どの医師にもできる訳ではないが、齋藤医師は年間1000例を超える症例をこなしている。またこうした技術を、世界中の医師に伝授。つまり直接的はもちろん、間接的にも何万人もの心筋梗塞および心疾患患者の命を救っているのだ。
現在、このカテーテル治療は次世代型のステントの開発が進められている。生体吸収性スキャフォールド(BVS)と呼ばれ、齋藤医師は開発にも携わっている。「生体内で分解・吸収されるBVSの特性から、血管内で長期にデバイスが残ることもなく、金属製ステントで引き起こされる血栓症を減らせることができる」と齋藤医師は話している。

(更新日 2022年2月1日 )

ドクターの略歴、活動内容

齋藤 滋(さいとう しげる) /1950年生

プロフィール
1975年
大阪大学医学部 卒業
〃   大阪大学医学部附属病院 研修医
1976年
関西労災病院
1983年
関西労災病院 医長
1988年
湘南鎌倉総合病院 循環器科部長
2000年
湘南鎌倉総合病院 副院長
2008年
札幌東徳洲会病院 循環器センター長(兼務)
資格
  • 日本循環器学会認定循環器専門医
  • 日本内科学会認定内科専門医
備考
研究・職歴
  • 1988年 湘南鎌倉総合病院 副院長・心臓病センター長兼務

札幌東徳洲会病院 循環器科センター

〒001-0030
札幌市東区北33条東14丁目3番1号

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