がん 肺がん

Dr. Hiromitsu Doumen

道免 寛充(どうめん ひろみつ)医師

勤務病院NTT東日本札幌病院 呼吸器外科医長

肺がんのロボット支援手術に実績

ロボット支援手術の症例多数

 数あるがんの中で、もっとも日本人の死亡数が多いのが肺がん。5年生存率が約30%と非常に治りにくいのが特徴だ。肺がんの治療は大まかに分けると「手術療法」「化学療法(抗がん剤)」「放射線療法」の3通りだが、ステージ3までのがんであれば手術療法がもっとも治療効果が高いとされる。低侵襲な手術療法として世界中で注目されているロボット支援手術を実践するのが、NTT東日本札幌病院の道免寛充医師だ。

(撮影日 2022年4月4日)

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低侵襲な単孔式胸腔鏡手術とロボット支援手術を実戦

写真① 肺がんは気管支・肺胞系の中の上皮細胞ががん化したもの 肺がんとは気管支・肺胞系の中の上皮細胞ががん化したもの。発症の主な原因は喫煙だが、近年はたばこを吸わない人の罹患者も増えている。一般的な症状は、咳やたん、血たん、発熱、息苦しさ、動悸、胸痛などが挙げられる。しかし、これらの症状で肺がんである確率はわずか3%と、症状のみで肺がんを疑うことは非常に難しい。しかし、比較的早い段階で遠隔転移することがあり、脳への転移による頭痛や骨転移による痛みなどで発見されるケースもあるため、治療が奏功するためには早期に発見することが重要だ。そのため、肺がんに罹患する危険性が高まる40歳以降は、年に1回の肺がん検診と併せて、小さながん病変の発見率が高い胸部CT検査を受けることで早期発見が可能になる。

患者の負担を軽減しながら根治を目指す

写真② 整容性に優れている単項式胸腔鏡手術 肺がんは、治療の効きやすさや進行速度の違いから小細胞がんと非小細胞がんに分けられる。肺がんの約10%が小細胞がんで、喫煙と強い関連性を示す。がんの増殖が速く、脳・骨・肝臓に転移しやすく、悪性度が高い。一方、非小細胞がんは肺がんの約80~85%を占めるがんで、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなど多くの異なる組織型があり、発生しやすい部位や進行速度、症状はさまざま。手術が可能な場合は、手術療法を中心とした治療が行われる。病変に到達する方法には、開胸手術と単孔式胸腔鏡手術やロボット支援手術といった低侵襲手術がある。単孔式胸腔鏡手術は、胸にあけた2~4センチの穴から手技を完遂できるため、術後の痛みが軽減されるほか、傷がほとんど残らず整容性に優れている。

 ロボット支援手術は、胸腔鏡手術をさらに発展させたもので、執刀医が3次元の画像を確認しながら、カメラと先端に電気メスや鉗子などの手術機器を備えたロボットアームを遠隔操作して行う手術。各アームの動きは執刀医の動きと正確に連動し、あたかも患者の体内に手を入れているような感覚で手術機器を操ることができる。アームは複数の関節を有し、手ぶれ防止機能も備えるため、より精密な手術が可能となった。優れた点の多い術式だが、行うには高度な技術と経験が必要だ。
写真③ 胸腔鏡手術を発展させたロボット支援手術写真④ 胸腔鏡手術を発展させたロボット支援手術

技術の研さんと診療体制の充実に注力

NTT東日本札幌病院では、単孔式胸腔鏡手術もロボット支援手術も北海道内で早い段階から取り組んでいる。年間1万件以上の肺がん手術を行い、世界中から見学者が訪れる中国上海市の上海肺科医院や、肺がんに対する第1例目のロボット支援手術を施行した愛知県豊明市の藤田医科大学への手術見学のほか、胸郭模型やブタの心肺、あるいは遺体等を用いたトレーニングを複数回実施し、技術と経験を培ってきた。2022年4月からは常勤の呼吸器外科医を1人増員し、診療体制の充実を図り、今後も手術の待機日数の短縮や手厚いケアとサポートの実施に力を注ぐ。世界標準の科学的根拠に基づく医療と最新情報の提供にも注力し、「根治性と低侵襲性の両立」を目指していく方針だ。

同院ホームページでは、道免医師へのインタビューを掲載している。
詳細は https://www.nmcs.ntt-east.co.jp/interview/respiratory.htmlまで。

(更新日 2022/06/10 )

ドクターの略歴、活動内容

道免 寛充(どうめん ひろみつ) /1972年生

プロフィール
2002年3月
北海道大学医学部卒業
2002年4月
北海道大学 腫瘍外科学講座入局
2002年6月
帯広厚生病院 外科
2003年1月
北海道大学病院 第三内科
2003年4月
函館中央病院 外科
2004年4月
名寄市立総合病院 外科
2005年4月
浦河日赤病院 外科
2005年7月
北海道大学病院 第二外科
2006年4月
北海道消化器科病院 外科
2007年4月
北海道大学病院 病理部
2009年4月
国立病院機構函館病院 外科
2013年10月
北海道大学病院 循環器・呼吸器外科
2015年4月
NTT東日本札幌病院呼吸器外科医長
資格
  • 日本外科学会 外科専門医
  • 日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医
  • 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
  • 日本消化器外科学会 消化器外科専門医
  • 医学博士

NTT東日本札幌病院

〒060-0061
札幌市中央区南1条西15丁目

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